【学生の声】燕市のイノベーションについて考える課題解決インターンに参加して

新潟大学工学部工学科協創経営プログラム

3 年 川西秀明

インターンシップの具体的な内容と流れ

 2021年12 月上旬から2022年 2 月上旬までの 2 か月間、公益社団法人つばめいとにてインターンシップをしました。内容は、新潟県スケート連盟の依頼によって燕市役所と燕市内の企業等が協力して開発・製作・販売した「燕ブレード(フィギュアスケートのブレード)」について関係者にインタビューをして、データをまとめ、燕の特徴を捉えるといったものです。

 はじめ燕市役所の商工振興課の山崎さんから燕市の歴史や燕ブレード発足の理由、また開発過程について詳しく説明していただきました。燕市について全くと言ってもいいほどド素人だった私は燕市に興味が湧いて、燕市産業史料館に寄りました。金属食器や鎚起銅器、煙管などが栄えた歴史的背景、製作工程、既製品などを見たり聞いたりし、燕産業の特徴を実感することができました。

 燕ブレードの開発段階では、場の提供や資金管理、資料作成等は燕市役所がメインで活動していましたが、材料選定や図面作成、加工・組立等は燕市内にある企業が担当しました。約 1 カ月かけて、議長を務めた徳吉工業(企業名の敬称以下略)の徳吉さん、材料の供給を担当したアイチテクノメタルフカウミの小野木さん、材料のレーザー加工を担当した柳田製作所の柳田さん、図面作成を担当したエーワン・プリスの遠藤さん、組立を担当したゴトウ熔接の後藤さんの計 5 名からお時間を頂き、一人当たり約 3 時間の口頭インタビューを行いました。

徳吉工業さんへのインタビューの様子

 内容は各企業の沿革と、燕ブレード事業に参加した動機と経緯、事業中の困難、これからの課題等です。口頭インタビューした内容は全て手打ちでテキスト化し、KHcoder というソフトを用いてテキストマイニングをしました。共起ネットワークや階層的クラスター分析によって得られたデータとインタビュー内容の両方を吟味し、燕市の特徴を見出せないかと奮闘しました。

  フィギュアブレード自体の生産の世界シェアのほとんどがイギリスで、日本は 0 に近い状態であったため、当然のことながら燕市内の企業もフィギュアブレードに対しての知識はありませんでした。新潟県スケート連盟からの依頼という新しい結合によって燕ブレードというものが生まれたため、繋がったことのない個人や組織と新しい結合をすることで、新たなイノベーションが生まれるのではないかと結論づけました。

インターンシップの最終日には企業にて成果発表を行いました。その時、燕市内の企業の社長からのコメントで、「古くからの慣習に固執して新しい結合を嫌がる存在、または環境が確かにあり、それを払拭することが課題である。」とおっしゃっていただき、今後の課題のヒントを頂きました。インターンシップ後はいただいたコメントの観点を入れてブラッシュアップし、新潟大学学内での発表を行って、あっという間の 2 か月が終わりました。

インターンシップを体験しての感想

 つばめいとは様々な企業や人々と密接な交流があり、私が「ゴトウ熔接に行きたいです。」と言ったら、つばめいとの若林さんが直ぐにアポイントを取ってくださったのが印象的でした。

 燕市産業史料館も私が行きたいと言ったら二つ返事で連れて行ってくださり、学生が望めば直ぐに動ける体制にあるのだなと感動しました。つばめいとでは学生の寄宿舎があるのですが、洗剤等の備品や昼食の手配などをしてくださった深海さんにも感謝しています。気分や調子にも気にかけてくださり、いつも温かく見守ってくださいました。

他のインターン生とつばめいとスタッフとのランチ

 学生の寄宿舎では他の学校から来たインターン生も居り、彼らと一緒に外食したり、買い物に出かけたりしてバカ騒ぎしました。時には深い議論を重ねたりして、つばめいとでしか得られないものが沢山ありました。

イルミネーションの装飾のお手伝いをすることも

 直接インターンシップの内容に関わらないことにも参加する機会を頂きました。燕中学校への訪問、鎚起銅器で有名な玉川堂の見学、燕市宮町町おこしでのイルミネーション装飾等です。燕中学校では校長先生が印象的でした。ものすごく活動的で町中を巻き込んだイベントを計画したり、コロナ禍で運動会の応援に来られない生徒のご家族のためにドローン撮影での youtube 生配信をしたりなど革新的なことを実行してる姿に感服しました。

宮町商店街の雪かきのお手伝い

 玉川堂での見学では職人さんが目の前で作っている姿を見て、製品に対する思いを聞
くとなんだか製品が欲しくなっちゃいました。モノには見た目や機能だけではなく、思いや歴史などが込められていると説明を頂いた時は、神妙な心持になりました。

 宮町では町を活気づけようと新聞やベンチを作ったり、イルミネーションを飾ったりするプロジェクトが少しずつ始まっています。全くの初対面でも心よく受け入れてくださり、メンバーの一員として参加できた誇らしさを感じることができました。イルミネーション以外にも、1 月頃では雪が沢山降るので雪かきをするのですが、雪かきでも感謝の声を町の方々がかけてくださり、社会への貢献の喜びを感じました。

寄宿舎では他大学のインターンシップ生との交流も